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『涙を流し尽くしたアタシのために、彼は、泣いた。』
 ――アタシの生きる理由。
 それはいつもアタシを見て笑っているアンタを、一度でも泣かす事。

 今も何処かで、誰かが産声を上げている。
 それは、生まれてきた事に歓喜して? それとも、生まれてきた事に絶望して?
 この世界に生まれてくる事に理由はない。
 でも、生きていくのに理由は必要。それはアタシにも、例外なかった様で。
 あの頃のアタシは理由もなく、ただ死んだ様に生を繰り返していた。

 真っ暗な世界に生み落とされた時、アタシは特に何も感じなかったと思う。ただ少し、
寒いなと思った様な気がする。それからすぐに、両親に捨てられた。
 それからしばらくして、アタシは温かい家族に迎え入れられた。
 その時に意味もなく期待する事を覚えちゃったもんだから、また独りに戻った時、辛
いんだろうなぁ――とか思った。
 “その時”はすぐに、訪れたんだけれど。
 あの時、アタシは生まれてから初めて泣いたんだ。生まれてきた事へ、生きていく事
への、絶望で。

 帰る場所なんてなかった。
 アタシはまた、雨ざらしの公園のベンチで独りぼっち。
 傘を差し急ぎ早に遠ざかっていく人の群は、誰一人私に声を掛ける事もなく。
 世界に独り、取り残された様な感覚に襲われた。誰も迎えには来てくれない。
 もう、良いかな? と、顔も名前も知らない父と母に、柄にもなく問いかける。
 もちろん、答えは返ってくるはずもなくて。
 もう、良いや。そう思って、小さな舌を噛み切ろうと思ったその時。私には、既に口
を開く気力すら残ってない事に気がついた。
 
 だっさいな、アタシ・・・・・・。
 
 ざぁざぁと、もう涙すら流せなくなったアタシの変わりに、空が泣いてくれている。
だとしたら、この雨はずっと止む事はないだろう。

 でも――雨上がりの空は、訪れた。
 眼の前に現れた彼が、真っ黒な傘を差し出してくれた時。彼がアタシから涙を拭い去
ってくれた。泣き明かし、もう目はほとんど見えなくなっていたけれど。アタシはその
時、アンタに拾われたんだっけ。

 アンタの部屋は、アタシから見ても小さいし散らかっていた。差し出されたホットミ
ルクは、賞味期限ぎりぎりだとアンタは笑った。アタシは猫舌だったから、ちろちろと
ミルクを飲んだ。
 舌噛み切らなくて良かったなぁ。最後に、こんな美味しいものを頂けたんだから。
 見上げると、アンタの顔が近かった。覗き込むように向けられる笑顔が、眩しい。
 あー、馬鹿なアタシはアンタに期待する。
 
 ――アタシを独りにしないで、って。

 情けないな、これで最後。大きく、口を開けて――。

 ――でも、最後は永遠に訪れなかった。
 今も情けなく、アタシは生きている。
 
 慣れてはきたけれど、絵の具のにおいは嫌い。アンタを感じられなくなるから。
 私は寝転びながら、碧い空を眺めている。気が付くとアンタは、真っ白なキャンバス
にアタシを描いていた。
 どんな絵を描いているのか、気になって仕方ない。うずうずする。
 首を伸ばしたりして覗き見ようとするアタシを、なだめるアンタはいつも楽しそうで。
 アンタの絵は、相変わらずヘタクソだった。
 アタシはそんなに、可愛くないって。
 
 あの日から数ヶ月。もうほとんど、この瞳は何も映さなくなっていた。
 それでも、良いと思ったんだ。
 考えてみるとあの時。公園のベンチで産声を上げて、アタシは、生まれたのかもしれ
ない。
 
 アタシが生きている理由。
 それはいつもアタシを見て微笑んでるアンタを、一回くらい泣かせてやる事。
 たぶん、それはそう遠くない。
 
 ・・・・・・うそつきだね、アタシも。
 
 ゴメンね? じゃなきゃ、笑っていけないんだ。
 鼻をつんざく画材のにおいが、アタシからアンタを遠ざける。
 いう事なんて、聞いてやらない。
 アタシは彼に、有無をいわさず飛び込んだ。
 日向のにおいのする、彼。アタシの太陽になってくれた人。
 アタシはもう、あの時に涙を流し尽くしていたから。
 うれしくて泣きそうだったのに、涙はやっぱり流れなかった。

 本当は――アタシは、明日を、アンタと生きる。
 それだけで、良かった。そのためだけに、生きていたかったんだけれど。
 彼の、温かい胸の中。でも、あの時みたいに寒くはない。瞳に映るものは真っ暗な闇。
だけれど、確かに目の前には光があった。
 その時、ぽつり――と。アタシの上に、二度と降る事がないと思っていた大粒の雨が
落ちてきた。今度はしばらく、止みそうにないかもしれない。

 温かい雨は、私の頭上でいつまでも降り続ける・・・・・・。
 願わくばいつの日か――また太陽が昇る事を夢見て。
 彼の胸の中で、アタシは静かに眠りにつく。

『涙を流し尽くしたアタシのために、彼は、泣いた。』

*********************************

 1年前にここで公開したものの、加筆修正版でした。
 加筆したら、何かテンポの途切れ途切れが目立つ様になった感があります(汗)。
 こんな事してる暇あるなら、しっかり寝ろ! という話ですね。。
 寝ます寝ます寝ます(汗)。
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